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主に小説中心のブログ。 更新は管理人の気まぐれで不定期。 青い鳥文庫や金の星社の本を好む。
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第11話「気持ち 最終話」

”本当のカップルになりたい”

・・・言った。
言ってしまった。
これでもう、今までの関係には戻れない・・・。

「・・・・・・・・・・え?」

日向の、同様と疑問が混じった声。
私は突然恥ずかしくなった。

「・・・・・・・・っ」

みんなの視線もおかまいなしに、走り出す。
慣れないげたの音が、夜の町に響き渡った。

しばらく走った。
息が荒い。


こんなに必死で走ったの・・・久しぶり・・・。


夜空を見上げると、小さな光で輝く満天の星。
綺麗で儚くて、今にも消えてしまいそうで・・・――――。
そんな星が、今は何故か羨ましく思えた。


ブ―――ブ―――ブ―――ブ―――


「っ!!」

いきなりバッグの中でなった携帯に、驚いた。
それは、普段かかってこない電話。
着信者は・・・日向。

「・・・!」

このまま出ないできるのを待つ?
それとも――――・・・

私は目をつぶり、考えた。
今出なくても、明日学校で会う。
時間が違うだけで、同じようなもんだ。

それに・・・このまま逃げて何になる?

私は決心を固め、電話のボタンを押した。

「・・・はい」

『美夜!どうしたの?』

「・・・」

『あの・・・さ、さっきの言葉の意味って・・・』

”さっきの言葉”。きっと、あの言葉だ。

「単刀直入に言うわ。私は日向のことが好き。断られても何されても、その気持ちは変わらない」

その後、しばらくの沈黙。
多分、返す言葉に困ってるんだ。

『誰が断るって言った?』

・・・・・・・・え?

「え?」

『断るなんて一言も言ってないじゃん』

「そ・・・それって」

日向も・・・?そういおうとした瞬間、私は後ろから誰かに抱きしめられた。

「・・・・!?」

びっくりして振り払おうとした。
だけど・・・後ろにいたのは

日向、だった。

「・・・・・あ・・・」

私は一瞬で顔が赤くなる。
でも日向は、にっこりとして言った。

「俺の気持ちは、美夜と一緒だよ?」

「・・・・え・・・!」

「告白、ありがとう。すごく嬉しかった。」

優しい微笑みで言う日向に、私は思わず頬がゆるんでしまった。

「これからも・・・よろしく」



こうして、私の最高の夏は終わった――――――。

end
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第10話 「本当、の」

夏祭り始まり、30分前。

”今から家出る”

そうメールを送って、私は家を出た。
町はにぎやか。
お祭ってのに行くのは久しぶりだけど、
すっごく楽しみになってきた。

日向との待ち合わせ場所に行くには約5分でつく。
慣れないげたでゆっくりと歩いても、十分間に合った。

「・・・あ」

待ち合わせ場所には、私服の日向がいた。
私を見つけると、かすかに手をふる。

「いこっか。」

「うん」

その会話は、なんだかカップルみたいだった。
思わず、顔がにやけてしまう。

「・・・なに?」

「・・・別に?」

にやける顔を必死におさえながら言った。
30分は、屋台などを見ているとすぐにたった。

「カップルコンテスト出場の方ー!こちらへ集まってくださいーい!」

そんな声が聞こえた。

「いこっか」

「うん」

いよいよだ、そう思うと、緊張と楽しさが一緒になった。
私達の番は、2番目。

1番目のカップルが終わり、拍手がおこる。

「行こ」

日向がそう言った。
でも、私の足は動かなかった。

「・・・美夜?」

仮でも、偽でも。
日向の恋人になれるなら、何でも構わなかった。
そう思ってたのは、まぎれもなく私自身のはず・・・なのに。

やっぱり、本当の恋人になりたい・・・なんて。

「ごめん・・・」

「え?」

私は、顔を上げて言った。

「私・・・やっぱり、日向とは本当のカップルになりたい」



どんな言葉も、言ってしまったものは、もう消せない。
この言葉も、だ。
第9話 「絶対、絶対に。」

あまり送ることのないメールを、日向に送る。

” ほんとに行くの? ”

それだけ。
只今、夏祭り始まり前2時間前。
こんなメールを送るけど、私はきちんと浴衣も、持って行くものも準備していた。

・・・正直言うと、わくわくしてる。

久しぶりに聞くメールの着信音がなった。
日向は何故かメールを打つのが早いらしい。


” 何いってんの?言っとくけどいまさら行かないは無しだから。 ”

やっぱり、ね。
返ってくるメールの内容なんて、予想できてた。


・・・あれ?


メールは一見、これで終わりに見えた。
だけどスクロールすると、まだ文があったようだ。

「めんどくさいことするなあ・・・」

そう呟いて、スクロールした。
一番下にあった文字、は

” ・・・言っとくけど、普通の服で来るとか無しだから。 ”

・・・これって・・・

これってもしかして、私の浴衣姿が見たいってこと?

「素直じゃないなあ・・・普通に言えばいいのに」

くすっと笑う。
なんだか日向らしくて可愛かった。
でも・・・嬉しいな――――――・・・

このメール、どんな顔で打ってるんだろう?

照れた顔?
笑ってる顔?
無表情?

でも正直、どんな日向でもよかった。
今はどんな顔でもいいから、日向に会いたかった。

初めてだ、こんな気持ち。

多分・・・いやきっと、絶対。
私は何があっても、

日向のことが好きなんだ――――――
第8話「夏祭」

最近、クラスの女子達が騒いでる。雑誌を見ながら。
不思議に思って少し雑誌をのぞいてみると、そこにはいろいろな浴衣がたくさん。
ページの題名は「夏祭り」。

「あー・・・もうそんな季節か」

突然後ろから声がして、振り向くとそこには日向の姿。
・・・顔が近い。
この前の日向の表情を見てから、私はくるってしまったようだ。
・・・日向の顔を見るたびに、頬が赤くそまる。

「ね、いこっか」

「・・・は?」

「夏祭り。楽しそうだし」

「・・・何であんたなんかとっ・・・!」

すっかり赤くそまった顔で言うと、日向はにやりと笑った。

「あれ・・・何か俺、恋愛対象になってる?」

そんな日向の言葉に、私の頬はもっと赤くそまった。

「う・・・うるさいなっ・・・!なわけないでしょ」

そう言って、私は教室を出て行った。
階段を上り、誰も居ない屋上に座り込む。





・・・完全に私、日向のこと意識してるし





今まで、能力のせいで私に近づく男なんていなかった。
あんな至近距離で話したことなんて無かったし、勿論男と2人で祭になんていったことが無い。

・・・それでも、あんなにどきどきするのは相手が日向だからだろう。




・・・私、日向のことが――――・・・?

そう思ったとき、屋上のドアが勢いよくあいた。
はいってきたのは、日向だった。

「ねっやっぱり夏祭りいこう!」

「・・・だから嫌だって・・・」

「これっ!」

そう言って、日向はばっと持っていたチラシを広げた。
チラシには、どでかく「夏祭り」の字。

「・・・このチラシがなにか?」

「ほらここっ!「カップルコンテスト」!1位だったカップルには、5万円プレゼントー!」

日向の言うとおり、チラシの片隅に、カップルコンテストのことがあった。

「・・・もしかして・・・これに出るっていうんじゃ・・・?」

「あたりー!5万だよ!?2人で分けて2万5千!」

「いやそういう問題じゃなくて・・・。私達カップルじゃないし」

「だったらなればいいんだよ!」


・・・え?


「日向・・・それって」

「うん、この時だけラブラブカップルって感じを演じとけばいいんだ!」

「・・・それって、ちょっと無理がないか・・・?」


これから始まる私達の夏は、いつもと違う夏になりそうな・・・予感。
第7話「真実は・・・」

   ・・・――――寂 し い――――・・・

そう思うと、私の目からは涙がこぼれる。

涙が出るほど寂しい自分。
いつもまわりには人がいない自分。

そう思えば思う程みじめで、涙がでた。
そして今、寂しいと感じている自分を―――。思い出してしまった。

しだいに私の目からは涙がこぼれる。
そんな私に、日向は優しく言った。

「・・・大丈夫?」

日向はそれだけしか言わなかった。 
ただ横に座って、空を見上げていた。

少し・・・少しだけど、そんな日向の優しさに、私は驚いた。

不気味なような、悲しそうな顔の日向。

今みたいな、優しい顔の日向。

日向の真実の顔は―――――――。

どっちだろう・・・?
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