主に小説中心のブログ。
更新は管理人の気まぐれで不定期。
青い鳥文庫や金の星社の本を好む。
第5話 「昨日まで友達」
近づいてくる声。
楽しそうな話し声。
でも今は、すべての音、声が耳障りだった。
「・・・・・っ・・・」
できることなら、今すぐ逃げ出して帰りたい。
でも今逃げ出して、得られるものは何も無いんだ。
何も解決しない。
いじめられる前まで、思ってたこと。
―――相手が誰だろうと立ち向かえばいい。―――
でも今私は、それを言える立場にいない。
そんな言葉は、無責任なだけだ。
逃げる場所も無い私は、とぼとぼと教室に入った。
そのうち、時雨の友達と一緒に椎名、真耶、紗稀も教室に入ってくる。
私は席を立つと、その方へ向かった。
(まだ、希望はある)
居場所がさえあれば、大丈夫な気がした。
3人の前に立つと、
「おはよう」
と言った。内心、不安でいっぱいだった。
「・・・でさ、今日の宿題、難しくなかった?」
「あー、思った!超むずかったし」
・・・え
3人は私に無視して通り過ぎると、3人で話し始めた。
・・・ああ
やっぱり所詮、友達ってこんなもんなんだー・・・。
昨日まで友達だった、でも今日は違う。
時雨の一声で、こんなにみんな動いちゃうんだ―――――。
そう思うと、無力な自分が情けなくて悲しくて、
その場にいられなくなった。
教室から逃げるように屋上へ行く。
なんだろう。体が、勝手に動く。
これが本心だから、なのかな・・・。
屋上の柵を乗り越えて、ボーっとそんなことを考えていた。
(死ぬのかな)
下を見ても、怖くなかった。
死ぬことに抵抗を感じなかった。
今ここで足を滑らせても、私は抵抗もせず、重力に身を任せて落ちると思う。
(こんな簡単に死ねるんだ、私って)
情けない自分にあきれた。
(もし生まれ変われるとしても・・・もう、生きたくないな)
ふっと微笑むと、私はゆっくりと片手を離した。
「―――何やってんのォ?」
後ろから声がした。
後ろにいたのは、どこか見覚えのある女子。
「こんな場面で再会なんて、まったくあたしは運がいいわ」
その子は私に近づくと、にっこりと笑った。
私・・・この子のこと、知ってるような気がする・・・。
いったん柵を乗り越え、広い屋上の地面へ下りる。
「・・・へへ、久しぶりだね、朱鷺」
・・・!
その瞬間、思い出した。
この子、もしかして・・・!
「・・・もしかして・・・、梨胡!?」
「あったりvよかった、覚えててくれた」
やっぱり、梨胡だ。
―――梨胡(りこ)は、小学生時代の親友。
でも4年生のとき、家庭の事情でアメリカに引越した。
そして今、ここにいる。
「・・・で、何で自殺しようとしてたの?」
唐突な言葉。
理由に、少し焦る。
・・・でも、梨胡には本当のことを言いたかった。
「・・・信じてもらえないかもだけど・・・、私、時雨にいじめられてるの」
「・・・え、時雨に?」
梨胡がいたときの時雨は、そんな人じゃなかった。
信じられないのは、当たり前だと思う。
「・・・朱鷺が言うんだから、本当だよね。うん、信じるよ」
悲しそうに、梨胡は笑った。
「・・・あ、私職員室行かなきゃいけないんだった。じゃ、もう行くね。」
「え・・・あ、うん」
そして、梨胡は屋上から離れていった。
私は柵にほおづえをついて、空を見上げた。
「・・・広い、なぁ」
広い空の向こうには、私の知らないことがいっぱいあって、
知らない人達がたくさんいる。
それを知る前に死のうとした私。
「何か、もったいないな」
ふっと笑った。
何故か、すごく久しぶりに笑った気がした――――。
近づいてくる声。
楽しそうな話し声。
でも今は、すべての音、声が耳障りだった。
「・・・・・っ・・・」
できることなら、今すぐ逃げ出して帰りたい。
でも今逃げ出して、得られるものは何も無いんだ。
何も解決しない。
いじめられる前まで、思ってたこと。
―――相手が誰だろうと立ち向かえばいい。―――
でも今私は、それを言える立場にいない。
そんな言葉は、無責任なだけだ。
逃げる場所も無い私は、とぼとぼと教室に入った。
そのうち、時雨の友達と一緒に椎名、真耶、紗稀も教室に入ってくる。
私は席を立つと、その方へ向かった。
(まだ、希望はある)
居場所がさえあれば、大丈夫な気がした。
3人の前に立つと、
「おはよう」
と言った。内心、不安でいっぱいだった。
「・・・でさ、今日の宿題、難しくなかった?」
「あー、思った!超むずかったし」
・・・え
3人は私に無視して通り過ぎると、3人で話し始めた。
・・・ああ
やっぱり所詮、友達ってこんなもんなんだー・・・。
昨日まで友達だった、でも今日は違う。
時雨の一声で、こんなにみんな動いちゃうんだ―――――。
そう思うと、無力な自分が情けなくて悲しくて、
その場にいられなくなった。
教室から逃げるように屋上へ行く。
なんだろう。体が、勝手に動く。
これが本心だから、なのかな・・・。
屋上の柵を乗り越えて、ボーっとそんなことを考えていた。
(死ぬのかな)
下を見ても、怖くなかった。
死ぬことに抵抗を感じなかった。
今ここで足を滑らせても、私は抵抗もせず、重力に身を任せて落ちると思う。
(こんな簡単に死ねるんだ、私って)
情けない自分にあきれた。
(もし生まれ変われるとしても・・・もう、生きたくないな)
ふっと微笑むと、私はゆっくりと片手を離した。
「―――何やってんのォ?」
後ろから声がした。
後ろにいたのは、どこか見覚えのある女子。
「こんな場面で再会なんて、まったくあたしは運がいいわ」
その子は私に近づくと、にっこりと笑った。
私・・・この子のこと、知ってるような気がする・・・。
いったん柵を乗り越え、広い屋上の地面へ下りる。
「・・・へへ、久しぶりだね、朱鷺」
・・・!
その瞬間、思い出した。
この子、もしかして・・・!
「・・・もしかして・・・、梨胡!?」
「あったりvよかった、覚えててくれた」
やっぱり、梨胡だ。
―――梨胡(りこ)は、小学生時代の親友。
でも4年生のとき、家庭の事情でアメリカに引越した。
そして今、ここにいる。
「・・・で、何で自殺しようとしてたの?」
唐突な言葉。
理由に、少し焦る。
・・・でも、梨胡には本当のことを言いたかった。
「・・・信じてもらえないかもだけど・・・、私、時雨にいじめられてるの」
「・・・え、時雨に?」
梨胡がいたときの時雨は、そんな人じゃなかった。
信じられないのは、当たり前だと思う。
「・・・朱鷺が言うんだから、本当だよね。うん、信じるよ」
悲しそうに、梨胡は笑った。
「・・・あ、私職員室行かなきゃいけないんだった。じゃ、もう行くね。」
「え・・・あ、うん」
そして、梨胡は屋上から離れていった。
私は柵にほおづえをついて、空を見上げた。
「・・・広い、なぁ」
広い空の向こうには、私の知らないことがいっぱいあって、
知らない人達がたくさんいる。
それを知る前に死のうとした私。
「何か、もったいないな」
ふっと笑った。
何故か、すごく久しぶりに笑った気がした――――。
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