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主に小説中心のブログ。 更新は管理人の気まぐれで不定期。 青い鳥文庫や金の星社の本を好む。
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第2話 「昨日の笑顔は消えて」

ちょっとした変化があった。

あの、誰とも親しい時雨を

嫌う人が、現れたんだ。

・・・ま、元から私は時雨を少し嫌っていたんだけど。
私達は悪口になれていないせいか、
それからの椎名、真耶、紗稀、そして私の中の雰囲気は悪くなってしまった。

その雰囲気をよくするどころか、悪くしてしまうんじゃないかと怖れ、
結局そのまま、一日は過ぎてしまった。

「朱ー鷺!」

いつもの明るい声がした。

―――時雨だ。

少し、私の顔がこわばったのが分かる。
理由は勿論、 時雨の悪口を言ったことがばれたら、怖かったから、だ。

「何・・・?」

いつもより、声のトーンが低い。
いつもよりまして、暗いイメージの声だった。

「昨日、すっごくオシャレで美味しそうなお店見つけたんだ。今から一緒に行かない?」

「え・・・私?」

「うん。朱鷺が好きそうなお菓子がいっぱいあったから」

私は脳をフル回転させて考える。
この誘いを断る、理由を。

・・・駄目だ。思いつかない。
再認識する。私は嘘が下手だ。

「・・・うん、いいよ」

それからは、普通に教室を出て、普通に学校を出た。
そして・・・冬だからだろう。早くも暗くなった今まで知らない道を、時雨と歩いた。

「あ」

パチン、と携帯を開ける時雨。
電話がかかってきたようだ。

「ごめん、電話だ。此処で待っててくれる?」

そう言って、時雨は少し遠くの方へ行って、電話の相手と話し始めた。

私はすぐそばにあった建物の壁に、立ったままもたれかかる。
何だか、すごい距離を歩いた感じがした。

「ワンッ」

すぐそばで、犬の鳴き声がした。
おもわずふりむく。

――――その瞬間、私は誰かに首を少ししめられるようにして、
捕まってしまった。

「きゃ・・・・・・」

叫ぼうとしたとき、その言葉はふさがれた。

「声出したら・・・」

そう言って、その人はカッターナイフを私の頬に近づけた。
恐怖が私を襲う。

「・・・ずっと、おとなしいあたしの幼馴染みでいればよかったのに・・・」

幼馴染み・・・?

ってことは、今後ろにいるのは時雨・・・?

「紗稀から聞いたよ。・・・あんた、陰であたしの悪口言ったんだってね」

・・・紗稀!?

「嘘つかないで・・・!紗稀はそんなことしない!」

そう言った瞬間、私の頬は少し切りつけられた。

「痛・・・・・・・っ」

「・・・声出すなって言ったでしょ? どうせ言ったことには変わりないんだから、紗稀は関係ないし」


「・・・・・・・・っ」

時雨の言うとおりだった。

「明日が楽しみね」

時雨はそう言うと、私を置いて行ってしまった。




”明日が楽しみね”

私にとって、悪魔がささやいたような言葉だった。




昨日の笑顔が嘘のように、私の前から消えた―――――。
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