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主に小説中心のブログ。 更新は管理人の気まぐれで不定期。 青い鳥文庫や金の星社の本を好む。
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第6話 「続かない幸福」

「えー、今日は転校生を紹介するぞ。入れ」

教室がざわつき始める。
時雨達は、男か女かの話で盛り上がっていた。

扉ががらりと開くと、みんなはいきなり静かになって、
扉の方に視線を移した。

先生が黒板に名前を書き始めて、
梨胡がみんなを見渡すと、自己紹介を始めた。

「田崎梨胡です。4年生まで、此処に住んでいました。宜しくお願いします」

そう言って、ぺこっと頭を下げた。

「じゃあ田崎の席は・・・と。じゃあ、そこに座りなさい」

梨胡は注目を集めながら、窓際の席に座った。
時雨の方を見てみると、じっと、不思議な目で梨胡を見つめていた―――。



きーんこーんかーんこーん

チャイムが鳴って休み時間になると、
梨胡のところには人が群がるほど集まっていた。
私はその様子を、暇つぶしに借りた本で顔を隠しながら見ていた。

「ねえねえ、田崎さんって此処に住んでたんなら、時雨と知り合いなのー?」

そんな会話が自然と耳に入ってくる。

「うん」

短く返す梨胡。何だかめんどくさそうな顔をしていた。
でも、そこに集まる人達の顔を見渡して、誰かを探している素振をしていた。

「ちょっと、ごめんね」

そう言って、するすると人ごみを掻き分けて、
梨胡は時雨の前に立った。
ドキン、と私の胸が波打つ。

(・・・どうしよう、梨胡、何する気・・・?)

梨胡は時雨をまっすぐに見つめて、
話し始めた。

「久しぶりだね、時雨」

「・・・そうね。元気にしてた?」

いきなり話し掛けられて戸惑いながらも、時雨はにこやかに笑いながら答えた。

「朱鷺とはめずらしく一緒にいないのね。あの頃はいつも一緒だったのに」

梨胡が何かを探るように、時雨に問い掛けた。

「・・・そんな頃もあったわね。 でも、私達の関係を貴女にとやかく言われたくないわ。」


梨胡がまだ此処にいたころ、私達はまだ仲が良かった。
でも高学年になるにつれて意見がすれ違うようになって、私達はそれ以来、
一緒にいなくなった。

「・・・そうね、ごめんなさい」

静かにそう言うと、梨胡は教室を出て行った。

梨胡の姿が見えなくなると、いっせいにみんなは私の方を見た。
いや、睨んだ。

時雨は私の方に近づいてくると、小さな声で言った。

「もうお仲間つけちゃったわけぇ?・・・まあいいわ、おもちゃが増えたんだもの・・・。
2人とも時雨が遊んであげるぅ・・・」


私が少し肩を振るわせるのを見て、時雨達はくすっと笑った。






梨 胡 と 朱 鷺 は 時 雨 の お も ち ゃ

み ん な で 楽 し く あ そ び ま し ょ う ・ ・ ・ ?
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